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 口腔ケア中の抜歯事故

  • 017年3月のひやりはっと事故事例報告です。
    今回の事例は、口腔ケア中の事故についての苦情です。

    【状況要旨】
    ケアマネジャーより事業所に連絡が入る。T様息子様より「朝サービスに入った訪問介護員に口腔ケア中に乱暴に扱かわれ歯を折られた」と連絡が入った。確認をしてほしいとの事。
    A訪問介護員へ確認。
    口腔ケア中、歯をブラッシングし、うがいをしていただいた際に口の中から歯が出てきた。もともとT様は口腔内出血しやすいので、乱暴に扱ったり強くブラッシングはしていない。口腔内を確認すると、抜けた奥歯の歯ぐきから出血も見られなかった。抜けた歯はウェットティッシュにくるみ、テーブルの上に置いてある薬用の皿に置いた。記録書に歯が抜けたと記載し、次のサービスへ急いで向かい、そのまま事業所へ連絡することを忘れてしまった。

    【結果】
    事業所からの報告がなく、ご本人がご家族へお話され、ケアマネジャー経由で事故を知る結果となった。
    ご本人は歯が抜けたことにより食事の際に痛みがあるようになった。
    事業所から報告がないことによりご家族はやさしい手に対し
    不信感を抱くようになった。

    【原因分析】
    ・口腔ケアを行う前に、口腔内観察を怠っていた。
    ・ご利用者の変化があった際の事業所報告を怠っていた。
    ・歯がないことで食事摂取ができなくなる等リスクを考えず、歯科医師へ繋ぐことができなかった。
    ・ブラッシング時の細かい手順を記載した手順書を訪問介護員へ渡していなかった。

    【今後の是正について】
    ・口腔内の状態や咀嚼状態の観察を継続的に行い、変化があった際はすぐにサービス実施手順の見直しを実施する。
    ・訪問歯科サービスの位置づけを提案し、専門職による定期的な状態観察と、変化があった際の対応指示がもらえる環境を整備する。
    ・もばイルカの要対応・申し送りプロレコを活用し日々の小さな状態変化でも報告を行うことで、事業所からケアマネジャー・医療機関への報告や提案が行え、事故を未然に防ぐことが出来る。

    訪問介護員の皆さまの日々のご報告が、大きな事故を未然に防ぐことに繋がります。サービス提供責任者と共に、チームケアでお客様の在宅生活を支えていきましょう。